2007年09月16日

2.高知はポートランドやカールスルーエのような特色のある都市になる(けんちゃんのどこでもブログ9月放送分)

高知はポートランドやカールスルーエのような特色のある都市になる》

 今月のゲストはyassiさんです。yassiさんは香南市夜須町の出身です。大学では都市計画を勉強され、漁村の研究もされています。鉄道や自転車に興味をもたれています。ブログ「今日も自転車は走る」やサイト「土佐の高知の鉄道」なども開設されています。自転車の効用や鉄道や路面電車に大変興味を持たれています。今回のテーマは「高知はポートランドやカールスルーエのような特色のある都市になる」でお話をお聞きします。

1)アメリカのポートランド市。路面電車を市内中心街に乗り入れ、トランジットモールをこしらえ、中心市街地の活性化に成功したようです。自動車交通の先進国であるアメリカでなぜポートランドは上手く行ったのでしょうか?

 話は、1970年代初頭にさかのぼります。ちなみに、ポートランドにも路面電車はありましたが、1950年代に一旦廃止されました。「1990年計画」で、当初16本の高速道路(フリーウエイ)の建設が計画されましたが、すべて反対運動にあい、法廷闘争に持ち込まれ3本以外すべて中止されました。
 そのとき、同時に政策は大きな方向転換を行いました。それは、トランジット(公共交通機関)を整備する、トランジット整備とリンクした都市開発を実施する、駐車場をこれ以上新設しないという、まさに交通のパラダイムシフトと言ってもいい内容でした。
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(ポートランドの街並み。http://www.id-core.co.jp/tokiPortland.htmlより。)
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(ウィラメット川沿いの公園。かつては4車線の高速道路であったのを撤去したそうです。http://www5d.biglobe.ne.jp/~okabe/sjohnson/より。)
 バス路線の整備はそのときから始まっていますが、画期的な転換は、
1986年のMAXライトレール」の開業です。ダウンタウンと郊外のグレシャム市を結ぶ、鉄道路線が開通しました。この鉄道は、かつての路面電車とは異なり、ダウンタウンでは歩道から気軽に乗れる市街電車、郊外に出ると駅間も長く高速運転する郊外電車と二つの性質を融合した形になっています。98年、01年、04年にも延伸され、現在さらに新路線を建設中です。それとは別に、市街電車(もちろんかつての古典的電車より近代的なスタイルで)である「ストリートカー」も市が独自で整備して、大きな沿線開発効果をあげました。
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(ダウンタウンと郊外を東西に結ぶMAXライトレール。国際空港にも乗り入れています。http://world.nycsubway.org/us/portland/max.htmlより。)
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(ポートランドストリートカー。MAXとは別にダウンタウン内を南北に結んでいます。http://world.nycsubway.org/us/portland/streetcar.htmlより。)
 一連の取組みには、連邦レベルでの手厚い補助もさることながら、都心部無料などのユーザーサイドの施策、中心市街地を魅力的にする努力(ショーウインドウ、アートボーナスなど)、都市の成長管理など明確な方向性をもった都市計画のビジョンの賜物です。
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(ファーマーズマーケットの様子。農家から直接仕入れた新鮮な野菜や果物が並びます。4ヶ所で水・木・土に開催。このほかサタデーマーケットも土日に開催されます。この辺は、高知市とすごく共通しています。http://www.azumanointernational.com/portland/f_050520_01.htmlより。)

2)ドイツのカールスルーエは「市内のトラムをネットワークを拡充するためにドイツ国鉄網に乗り入れて広大な路線網を築いてきました。」とyassiさんはレポートされています。具体的にはどういうことでしょうか?

 
カールスルーエのトラムは土佐電鉄の路面電車よりも27年も前の1877年に開業しました。開業以来、廃止されずに路線を維持してきましたが、15年前の1992年に大きな快挙を成し遂げました。それは、トラムのネットワークを低コストで拡大するために、ドイツ国鉄(当時)へ直通し、国鉄の旅客鉄道と線路を共用を実現しました。
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(カールスルーエの市街地。比較的新しく誕生した都市です。wikipediaより。)
 これは、並大抵の熱意でなかったそうです。ドイツなどでは、地域の交通を担う電車類(トラム、地下鉄など)と、長距離を走る列車(ヘビーレール)との性質は、同じ鉄道と言っても隔たりは相当なものです。何しろ、鉄道には、長編成の国際特急列車や貨物列車、さらにドイツ新幹線
ICEも走っています。そこに、市内からトラムを走らせることは、例えレールの幅が同じであったとしても、日本で路面電車をJR在来線に直通させるよりも、容易なことではないと考えられます。
 
カールスルーエは、それを利便性向上のためにそれを実現したのです。電圧の違い(トラム:直流750V、ドイツ鉄道:交流15000V)、信号系統、保安装置など技術的な問題、運行上の問題、法律の問題、運転士の訓練など、様々な解決すべき課題はありましたが、それを逐一クリアして直通運転を実現しました。 
 結果は大成功で、郊外から乗り換えなしで都心へのアクセス効果、本数の増加、安価な料金体系と相まって以前の
510倍に乗客数が増えました。それは、当然ながら中心市街地の活性化にも貢献しました。1992年以降、現在まで直通区間を順次拡大しています。その成功は、「カールスルーエモデル」と呼ばれ、カールスルーエを一躍有名にしました。この取組みは、ザールブリュッケンやフランクフルトなどドイツの都市にみならず、フランスや日本(熊本電鉄と熊本市交通局が計画中)にも、広がっています。
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(カールスルーエの中心街。トランジットモールになっています。wikipediaより。)
 このカールスルーエモデルは高知でも応用できそうです。かつて安芸線で、規模、スケールとも全くかないませんが、路面電車が安芸まで直通していました。ごめんなはり線が開業し、高知県東部に鉄道が復活した今、それを現代にグレードアップした形で復活させることは大いに意義のあることでしょう。
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(安芸線があった時代は、市内から安芸まで直通運転していました。写真は、昭和49年の廃止直前に堺町で撮影された600形2両編成の「あき」行き準急電車。長崎さん提供。)

 [参考サイト]
路面電車の課題と海外の事例
トラムと車が共存する未来
独墺四都市紀行
わだらんの欧州旅行記
let's ride a tram! 路面電車紀行
世界のLRTと風景写真のページ
Tram-Compilation (youtube映像)
Tram-Compilation 2 (youtube映像)
Stadtbahn Karlsruhe Ride Systemwechsel in Bad Wildbad (youtube映像)
Ersingen heavy / light rail contrasts. (youtube映像)
特に最後の映像は、トラムと長距離列車や貨物列車との路線共用というカールスルーエモデルのダイナミズムが伝わってきます。

3)yassiさんは「環境保護を真剣に地方都市が考えるのであれば、自動車使用量を減少させないといけない。」と言われています。その目標を達成するための方法手段を教えてください。

 
これは、ちょっと勉強不足なのですが、手段はいくつもあります。クルマは環境に悪いので控えるべきという哲学だけでは、まず減らせません。政策での裏づけや、仕組みを整備することが重要になってきます。
 
一つ目に、自動車に替えて利用してもらえる、公共交通の整備や、自転車利用環境の構築です。そうでないとなるべく動くなということになってしまいます。ハード面だけでなく、料金や情報面のソフトの整備も鍵を握っています。二つ目に、ロードプライシングや駐車料金の値上げ、乗り入れ制限、違反取締りの強化など自動車利用を不利にする方法。利便性を制限するのでいかに納得してもらうかが重要です。三つ目に、TODTransit Oriented Development)と呼ばれる公共交通を重視した開発方法です。他にも、色々あります。
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(巨大な郊外型のショッピングモールは「まちこわし」の一例であると言えます。)

4)キーワードに「コンパクトシティ」があります。「スプロール」と対極の都市づくりの方法であると思います。高知市は今後の都市づくりはコンパクトシティで行くべきでしょうか?

 現在は、商業施設は郊外に脈絡無くバラバラに拡散しています。公共施設も一部が公共交通でアクセスが難しい郊外に立地しています。高知市は、もともと東西に長い形態をしていますから、必ずしも、超コンパクトシティである必要はないと思います。塊状コンパクトシティというよりは、公共交通の軸線上に、再活性化を図る線上コンパクトシティの方が、向いているでしょう。

5)最近は「カーシェリング」という言葉もよく耳にします。具体的にはどうすることのでしょうか?国内での事例はありますか?また地方都市にも広がる可能性はありますか

 「カーシェアリング」とは、数人〜数千人と規模は様々ですが、自動車を共同で管理し使用する仕組みです。例えば、協会に加盟し、年会費などの会費を払う。利用のたびに、車種や走行距離、利用時間により使用料を支払うというシステムです。レンタカーに似てますが、日常生活でも気軽に利用できるところが大きな相違点です。
 
これは、無駄な自動車利用を抑える上で大変有効です。現状では、一旦、自動車を所有してしまうと、それを最大限に使ったほうが安上がりになるので、公共交通機関が利用できても自動車を無理に使ってしまいます。購入、所有に高くつき、利用にかかる費用が比較的安いですから。
 
カーシェアリングだとそのような無駄な利用をなくすことができます。利用料金には、ガソリン代以外にも、購入費、管理費用、整備費用が含まれた形ですので、それなりに割高につくでしょう。だから、便利な鉄道が並行しているのに車で行く、ちょっと500m先にタバコ買いに車で行くなんて利用は、まず考えられません。例えば、休暇に家族旅行で使う、大きな荷物を運ぶ、山岳地など車でないと行けない場所に行く時など、自動車の利点を大いに発揮できるときにこそ、自動車に大活躍してもらうことが可能になります。
 
利用者にとっては、用途(利用人数、荷物の種類、目的地)に応じて、適した車種を選択できる、賢く使えば、マイカーを保有するよりずっと安上がりになるなど、明確なメリットがあります。現状でも、家庭で二台目の自動車の替わりにすることはできると思います。
 
質の高い公共交通機関、自転車利用のサポートで、大部分のニーズを満たし、残りの部分をカーシェアリングでまかなうとすれば、大幅に自動車利用は削減できます。
 
日本では、横浜市で実験的な取組みがあるみたいです。高知県では、とくに経済的メリットが大きいかもしれません。

6)高知に「路面電車博物館」は必要ではないでしょうか。もしくはバスの博物館もふくめて地方公共交通博物館もこしらえたら良いと思いますが。高知県民の「心のふるさと」になるのではないかと思います。

 
確か「土佐電鉄の電車とまちを愛する会」浜田光男さんも提案されていました。路面電車の博物館はどこにもないですから、こしらえる意義は大いにあるでしょう。そこでは、日本の路面電車のみならず、世界のLRTやトラムの写真や模型、土電の歴史のみならず、運転シミュレーターも置いたらいいですね。できれば、各地で引退した車両も展示する、常時、実物の車両を体験運転できるとなれば、アンパンマンミュージアムに匹敵する集客施設も夢ではないと思います。
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(アメリカセントルイス市にあるユニオンステーション。かつての駅は商業施設になっていますが、機関車も実物が展示されていました。)
 バスの方も、最近、高知県交通が旧型モノコックバスのうち
1台を動態保存することを決めました。土電も、ボンネットバスがありますし、旧型バスがまだ残っています。ここ最近で激減しましたが。
 
ただ、博物館は、実用のインフラではないですので、肩ひじ張らずに気軽に考えていいでしょう。
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(残り少ない旧型のモノコックバス。写真の高知県交通「高22 ・744」号は動態保存することに決定しています。)
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(土佐電鉄218号は、1999年10月に引退しましたが、車体は高知市に寄贈され、わんぱーくこうちに展示されています。浜田光男さん提供。)

7)市民の合意形成が必要であると思います。中学生に説明するとすれば「どのような都市政策」を実行すると説明すればいいのでしょうか?

 
これは、正直どう答えたらよいか難しいです。あえて苦し紛れですが、「自分たちが住んでみたい、誇りに思える、外からも行ってみたいと思われる街にする。」また、「サステイナブルな環境調和を目指す都市づくりを実行する。」と説明すればよいかと思います。「もちろん、街の姿は、はあなたがたひとりひとりの行動の集積です。一緒に街をつくっていこうじゃないか!」と、こういうあたりでしょうか。
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(低床式バスも導入されています。浜田光男さん提供。)
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