今月のゲストはyassiさんです。yassiさんは香南市夜須町の出身です。大学では都市計画を勉強され、漁村の研究もされています。鉄道や自転車に興味をもたれています。ブログ「今日も自転車は走る。」やサイト「土佐の高知の鉄道」なども開設されています。自転車の効用や鉄道や路面電車に大変興味を持たれています。今回のテーマは「ごめん・なはり線の土佐電鉄直通運転のメリットは」ということでお話を伺います。
1)現在は、高知市から奈半利へ行く場合は、JR高知駅まで行き、JR四国経由で後免まで行き、そこから先は、土佐くろしお鉄道で奈半利まで行くことになります。直通運転されています。yassiさんは高知市街を走る土佐電鉄の路面電車がそのまま奈半利まで行く。奈半利から高知市街の路面電車へ走れば良いと言われています。どのようなメリットがありますか?
まず最初に、乗り換えなし高須付近から奈半利に至るまでの広範囲と、高知の中心市街地とを結べることです。現在では、土讃線高知駅まで乗り入れていますが、そこから中心市街地に行く場合、路面電車に乗り換えるか徒歩で行くかでやや不便です。県庁方面に行く場合は、高知駅―枡形便があるものの本数が少ないので、はりまや橋で乗り換える必要があります。運賃も高知駅までの運賃と路面電車の市内区間190円が加わり割高につきます。それが、後免町から土佐電鉄線に直通となると乗り換えなしで中心市街地に行けます。知寄町から鏡川橋までは、路面電車としてすべての種別が各駅にとまるわけですから、電停を下りたら目的のお店や施設はすぐ目の前ということが多くの場合に実現します。

(ごめん・なはり線 夜須駅付近)
二番目に、ごめん・なはり線沿線から高知市街への到達時間も短縮します。現在、後免駅から高知駅までは、普通列車で最低でも17分、行き違い待ちがあると25分程度はかかります。そこから路面電車に乗り換えると、はりまや橋まで最低でも10分程度はかかります。そうすると、後免からはりまや橋まで約35分ということになります。一方、土電電車は現行でも、後免町〜はりまや橋を35分で結んでいます。知寄町以東の郊外区間を高速化改良したりして急行運転ができるようにすれば、15〜20分で結ぶことが可能になります。その結果、現行よりおよそ15分以上の大幅な短縮となります。こうなれば、空港アクセス鉄道も現実味を帯びてきます。
(土佐電鉄路面電車。堺町から県庁方面を望む。)
三番目に、ごめん・なはり線の運行本数を増やすことが、可能にできるでしょう。現在の、土讃線直通は、土讃線も単線で特急列車も走っており、線路容量は限界に近いダイヤが組まれています。そのため、なはり線から土讃線にすべての列車が直通しているわけではありません。一方、土佐電鉄は、後免町から完全に複線です。すべての車両を中心市街地まで問題なく直通が可能になります。ごめんなはり線内の現在のダイヤは、1時間に1〜2ですが、これを4〜5本に増発して、一挙に利便性を向上させるべきだと考えています。もちろん、今より待避線や交換可能駅を増やさなければいけませんが、使える公共交通の条件に本数が多いことは必須の要件です。
四番目に、土佐電鉄線、ごめん・なはり線とも路線の活性化を図れるというメリットがあります。逆に、土佐山田方面へのJR土讃線が寂れるというかもしれませんが、これは公共交通利用のパイ自体を増加させることにより解決すべきでしょう。
五番目に、これが最も大事なことですが、クルマ依存社会からの脱出を図るために都市計画や交通計画との関連を明確化する必要があることです。つまりは、脱クルマ依存社会を目指す(有体に言うと自動車利用を削減させる!CO2排出を削減する!)ためこそ、公共交通機関の利便性向上を図るわけです。そのためには、路面電車、鉄道、バスなどの各種交通機関の役割分担をはっきりさせなければなりません。バラバラに機能している交通機関を再構築し総体的なシステムとして機能させる。これができてこそ初めてLRTの称号を与えられます。

(海、松林、山と自然に囲まれた美しい風景の中を走るごめん・なはり線。)
土佐電鉄を介してごめんなはり線とJR土讃線をまず、高知都市圏の基幹交通として位置づけます。そして、バス路線のネットワークを相互補完する形で、構成するというふうにしたらよいと思います。西方面も朝倉あたりからJR土讃線にも直通運転を検討すべきでしょう。また、中心市街地活性化の手段としても有効に機能します。
「なるべく自動車に依存しない高知メトロポリタンエリア」を目指す上で、もっとも核となるプロジェクトになるでしょう。
2)奈半利から高知市街まで直通運転と言うことになりりますと、ディゼルカーではなく電化しないといけないと思います。電化した場合の費用はどの程度かかるでしょうか?
当然、電化は必要です。専用のディーゼルカーやハイブリット車両を造るという選択肢もないわけではないですが、市街地で排気ガスを出すとなると、評判が悪いですし、性能や乗り心地も電車にはかないません。電化する方がベターです。電化の費用ですが、だいたい1km1億円といわれています。ごめん・なはり線は42kmですので、40〜50億円くらいはかかるでしょう。
3)今から30年ほど前までは、土佐電鉄が高知市から南国市後免を経て、夜須や安芸まで運転していました。安芸市から通勤通学の人達が高知へ来ていました。それを今の時代に再現するのでしょうか?
その通りです。かつての安芸線では、市内から手結や安芸まで路面電車が直通していました。市街地のみを走る運行にとどまらず、高知の市街地から40km近く先の安芸までを乗り換えなしに結んでいました。この取組みは、現在注目を浴びているLRTに通ずるものがあったと思います。郊外でのスピーディーな運行、連結運転による柔軟な需要への対応、当時は極めて斬新だった直通用車両のスタイルといい極めて先進的な取りくみでした。
(安芸線があった時代は、市内から安芸まで直通運転していました。写真は、昭和49年の廃止直前に堺町で撮影された600形2両編成の「あき」行き準急電車。長崎さん提供。)
それを、この現代にグレードアップした形で復活させるということです。速度や車両のみならず、バスとの連携、運賃面や情報提供面で、安芸線時代よりはとことん使いやすい鉄道、使いたくなる鉄道を目指すべきです。
また、東京などでの都心部の地下鉄と郊外私鉄との相互乗り入れが盛んですが、その都心部を路面電車で運行するバージョンと考えることもできます。このように参考事例は、国内の身近なところに豊富にあります。
(都営浅草線を経由して京浜急行電鉄品川駅に乗り入れた京成電車(右)。羽田空港行き。東京では、地下鉄と私鉄やJR線との相互直通運転が盛んです。)
4)朝夕のラッシュ時に知寄町あたりで見ていますと、自動車は1人で約7メートルの道路スペースを専用します。100台で100メートルの渋滞です。路面電車なら1両で60人は運送可能です。2両の路面電車で100人は運べます。交通渋滞の緩和と,廃熱防止になるし、環境対策にもなりますね。パーク&ライドも必要であると思われますが。
その通りです。道路では、自動車があまりにも偉そうにしています。自転車を歩道に追いやり、歩行者に平気でクラクションを鳴らす・・・。公共交通を活用するということは、自動車利用を最小限にする有効な手段ですね。それは、渋滞緩和、大気汚染や騒音の減少など様々なメリットをもたらします。
(車は1台に1人で約7メートルのスペースをとります。すぐに道路容量一杯になります。)
パークアンドライドは、公共交通と自動車の双方の利点を生かした施策ですので、もっと拡充してもいいと思います。
(県立美術館通電停に隣接したパークアンドライド用駐車場。最も好評でキャンセル待ちだとか。http://www.pref.kochi.jp/~junkan/vision_hp_new/1_3ondanka.htmより。)
5)直通運転の場合、現在の車両でいけるのでしょうか?特別車両ということになると地方の鉄道会社には余力はないとは思いますが? 運転手の技量などもあり対応はすぐにできるのでしょうか?
まず、JRやごめん・なはり線で使用している大型の車両を、市内に直通させるのは無理です。一方、現行の路面電車では、ちょっと小さすぎて用事にならないでしょう。中間サイズで、JR車両と同等、いや路面電車としての運行から郊外電車(それも急行(快速)から各駅停車まで)の高速運行に幅広く対応させるために京急電車の新型車並の高性能を誇る、専用車両が求められます。自動車から換えて利用されるためには、快適性も重要な要素です。長距離乗車にも対応させるため転換クロスシートを主体にするのがよいでしょう。
(京浜急行2100形電車。性能も素晴らしく内外装も洗練されたハイグレードな車両です。)
当然ながら、カツカツで経営している事業者単独での導入は、不可能です。ハートラムも事業者の負担がままならないので試しに導入した1編成で止まっています。公的負担は避けられないでしょうが、行政や市民の合意を得ることがあれば実現できるかと思います。
事故を起こして突如運休になった福井の京福電鉄ですが、運休により道路の渋滞が激しくなるなど、鉄道の重要性に住民が気づかされ2年後に第三セクター方式のえちぜん鉄道として再出発しました。そこに公的資金が100億円投入されていますが、地域住民の合意がなされた結果です。
(第3セクターとして出発したえちぜん鉄道。鉄道の有用性を再認識するきっかけになりました。http://tetuoya.fc2web.com/cicle/katuyama-mikuni/h18katuyama-mikuni.htmlより。)
また、直通運転にあたって保安装置や運転士の訓練、法律の問題などクリアすべきハードルはいくつも存在します。それらをあきらめずに、一つずつ解決していってこそ直通運転は実現します。
6)高知県庁に「交通局」をこしらえぐらいの気構えがないと運営はできないと思います。高知県庁などと接触してみた様子はいかがでしたでしょうか?
運賃体系の統合や共通のパスを発行するとなれば、それらを一元化する組織を構築しなければなりません。異なる路線、事業者、モード同士でもあたかも一つの路線であるかのようにするには、それらを統合する交通局の存在は必須です。ドイツなどでは、各都市圏で交通連盟が結成され、ドイツ鉄道、トラム、バス、地下鉄などで共通したしくみで利用できるようになっている都市が数多くあります。都市圏広域を格安で乗り放題の「環境定期」を導入したドイツ・フライブルクも交通連盟の結成によりそれが実現しました。
7)県内メディアの反応はいかがでしょうか?打診はされたのでしょうか?興味をもつ記者はいましたか?
これは、よくわかりません。メディアとの接触はまだですし。
※最後に、試しに作ってみた一つの理想形としての直通運転の路線図です。ここまでやれば地方都市としては相当レベルの高い鉄道システムになるでしょうが・・・・。
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コメントありがとうございます。
富山は大きく変わりつつあります。これからどう変貌していくのか期待大です。
一方で、高知はこのままでは置いていかれる一方ですので、なんとか公共交通活用の模範地域にまで押し上げたいと思っています。
その具体的提案が、JR線やなはり線への直通(実現すれば、路面電車のJR線や三セク線への直通は、日本発となる)、共通運賃制による利便性の向上、などです。今までの「こんなものか」と思われていた公共交通のイメージを根底から覆したいものです。
どうも応援ありがとうございました。
おきゃく電車ご自由にご使用ください
お知らせありがとうございます。早速使わせていただきました。
ハートラムの写真と、よさこい装飾の貨1号の写真も使わせていただきたいと思っております。
出典は、きちんと明記いたします。